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2020.11.06

FRAGILE セルフライナーノーツ (Ba.中原編) / 中原健仁

メンバーそれぞれの視点で書く
FRAGILE』ライナーノーツ。

俺は順不同でつらつらと書いていきます。
前作でこれやった時も結構な長文になったから、
これから読む方は気をつけてください。
暇な時間にちまちま読むのがいい感じになると思います。

よし、それじゃあいってみよう。


これを書いている今日は、ものすごい気持ちよく晴れていて、
いっちょピクニックにでも行きますか!なんて言いたくなるくらいなんだけど、
宇宙船六畳間号」のデモ音源がYouTubeにアップされた時は、そんなことすら許されなかった。
新型コロナウイルスの感染を防ぐために、外出を自粛しなきゃならんかった。
ピクニックはもちろん、仲間と居酒屋でワイワイしたり、音楽スタジオで練習をしたり、そもそも誰かと会って話をすることが制限されていた。

人に会えないということに不安を抱く人は少なくないと思う。
そんな中で「離れていても繋がっているよ」と歌うこの曲を世に放ったうちのボーカルまじナイスだと思う。
俺ら(メンバー3人)はこんな曲があったことすらほぼ知らなかったけど。それでもまじナイス。


実際に会って話すことは出来なくても、実は大事の人とは想像の中でたくさん会っている。
「もし今度会えたら何を話そうかな。」「新しく始めた趣味を披露してみようかな。」
きっと、あなたの会いたい誰かも同じように、そんな思いを募らせている。
こうして誰かを思い、誰かに思われることは、繋がりだと言えるんじゃなかろうか。
そして現代にはインターネットという名の小さく光る窓もある。
もしかしたら僕らはむしろ、互いに離れたところで、より繋がりを深めたのかもしれない。


そして多分、このアルバムで一番ベースが大変な曲だと思う。
Aメロとアウトロのフレーズは、うまく合わされば楽しいんだけど、
弾きながらドラムのビートに乗れなくなると、
なんか別々の民族が各々踊ってんなってなっちゃう。
これを弾こうと思った方は是非休符を意識してほしい。ドラマーと踊ってみてください。
そしてナイスグルーヴでドラマーと踊れた方は、今度はピックを持ってください。


2曲目の「Enchanté」はピック弾きです。そしてこれもちょっと難しい。


特に気に入ってるフレーズが二つあって、そのうちの一つは1サビ後のリイントロとアウトロの部分。
大からデモをもらってすぐに「こういうノリが合いそう」ってフレーズを送ったら、
かっちょいいバンドアレンジになって返ってきて、すごく嬉しかったのを覚えてる。
“嵐"とか"操縦不能の心”とか、そういう歌詞にもリンクしてる感じがして、今でも思わず弾いてしまうフレーズの一つ。

もう一つが大サビ前のフレーズ。
これも「今 空に飛び込んでゆく僕ら」っていう歌詞のように、
スゥーっと高音に駆け上がっていってパッと視界が開けるような景色が想像できる。
この曲は特に、音の抜き差しとか曲の雰囲気をみんなで作っていけた感がある。
ちゃんとバンドが成長して、メンバーそれぞれが自分の強みを発揮していて、
こういうアレンジができるようになったことが嬉しかった。


アレンジで言えば「ワーカホリック」と「風と船」は、何パターン作ったか分からないくらい考えた。

どっちも4年前にはじめてデモをもらっている。
ワーカホリック」は、日常を過ごす中で溜まっていくモヤモヤを吐き出しているような歌詞で、
その歌詞に対してのアレンジが、当時はどうもうまくいかなかった。
ため息をそのまま言葉にしたような歌詞なのに、サウンドはやたらと楽しげで、
思い返してみればその不一致さが不気味ですらあった。

同じように「風と船」も、こんなシンプルなアレンジでいいのかって、当時は自信が持てなかった。

だけど、歌詞もメロディーもものすごく気に入っていたから、
4年越しに、しかも別曲の作業をしていた大以外の3人で、真ちゃんを軸にアレンジを進めた。
ベースフレーズを2人に相談してみたり、サビにキメを入れてみたらそこにドラムを合わせてくれたり。
音の伸ばし方を長くしたり短くしたり、コードを変えたり、なんやかんやと模索しまくった。
ある時に、出来上がったそれらを大に聴かせたらすごく気に入ってくれて、ついに収録が決まったという。
だから、この2曲は特に達成感がある曲だし、音に隙間を与えたからこそ、立体感が生まれたんだと思う。


俺は昔から音の隙間っていうのが気になるタイプで、
隙間があるなら何かフレーズを差し込みたいってなりがちだった。
だけど、年々好む音楽が広がってきて、このバンドの曲の幅も広がってきて、
少しずつその良さがわかって、知らぬ間に吸収しているのかもしれない。

だから今回のアルバムは、音の隙間を楽しむ曲が多い。


個人的には「Fragile」でもそれを強く思った。
最初に作ったフレーズからどんどん動きを削っていって、
最終的に「どーーーん…」ってひたすらに伸ばすベースラインになった。
ただこのひたすら伸ばすっていうのが案外難しくて、
少しでも音を途切れさせる弾き方をすると、それだけで雰囲気が壊れてしまう。
鋭くなく、柔らかく。よりダークな音になるように。
余計なフレーズを挟まず、空間を支配するように弦を弾く。
低音が広がって音に包み込まれる感じが出せて、すごく満足してる。


チョコレート」は最初、自分の家でベースを録音した。
「打ち込みのベース音でいくかもしれないけど、弾いてみてもらっていい?」
っていう話があって、面白そうじゃないかと思ってすぐにOKした。
シンプルなフレーズだけど、音の伸ばしどころや切りどころがやっぱり難しくて、
だけど弾いていてすごく楽しい曲になった。まあ結局、音源は打ち込みなんだけど。笑
ライブは自分でベースを弾いて演奏してるから、音源との違いも楽しんでもらえると思う。

歌詞を読んですぐは、「これって男女の話なのかな」って思ってたんだけど、
何度か聴いてるうちに、ああ男女に限った話じゃないかもと思い始めた。
相手を思うあまりに踏み込みすぎて、逆に相手を傷つけてしまって、
それが怖くて近づき辛くなってしまったり、かといって距離が離れていくと不安になったり。
だけど、そうやって距離を縮めたり離れたりするのは、相手を本当に大切に思っているからこそだと思う。

そもそも興味のない相手とは、言い合いにすらならないから、それ以上相手を知ることもない。
同じ場所に居続けるのは感覚が麻痺してしまうもので、
甘い日々だけを味わっていても、きっとその甘さを見失ってしまうし、それ以上知ることはできない。
相手を知りたいと思うからこそ、苦い日々はやってくるし、また甘さに気づけるんだと思う。
お互いに思いやることで、ふたりにご褒美がもらえる。

って、俺は解釈しました。すごく好きな曲です。


そんな「チョコレート」から「ベランダ」へ。

この主人公も相手に触れることを恐れていて、
部屋の中でも外でもないベランダという場所が似合う、同じく半端なやつだと言っているけど、
「傍に来て 傍に居て」って思える、すごく素直なやつなんだなと思う。
「心で靴を履く言葉 喉元で立ち止まっている」っていう部分がすごく好きで、
パッと思いつくなんでもない言葉ならスッと出ていくけど、
心の中で何度も反芻するような言葉って、うまく出ていかないんだよね。
きっと誰しもが感じたことのあるモヤモヤを、
松本大らしい独自の言葉遣いで代弁してくれてる一文だと思う。
いろんな人に寄り添える言葉。
俺は音で表現するしかないから、この主人公みたいな思いを抱えてる人に向けて、
「大丈夫だよ」って気持ちを込めて、いつも演奏してます。

余談ですが、アザージャケットで描いたベランダは、一階建てのベランダになっています。
けど本当は丘の上にある小洒落た三階建てくらいのベランダが描きたかったんです。
俺の画力じゃあれが限界だったんです。
これを読んだ人は「大丈夫だよ」ってやさしく脳内で補完してください。



分かってる。このライナーノーツめっちゃ長いってこと、俺ちゃんと分かってる。
大学生の頃のレポートを思い出しながら書いてます。

書き始めるのめっちゃ遅いくせに書き出したら止まらなくなるあれ。
もうこれ何日かに渡って書いてるんだけど、気付いたらツアーが7公演も終わってました。
冒頭で「天気が良くてうんぬん」言ってるけど、夜を迎えたどころか季節変わってきちゃってる。


こんなに長くなって申し訳ないと思っているけど、もう少し続きます。



ツアーが7公演も終わってしまったので、ライブでの収穫もたくさんあります。
EYE」はこのアルバムを象徴してる曲だと思ってるんですが、正直ライブであんなに化けるとは思わなかった。
「この曲をライブで皆んなで歌えたら、きっとすごい景色になるんだろうな」
なんて思っていたから、声を発することが出来ないこのツアーでどうなるのか心配だった。

だけど、この曲を演奏している時のみんなを見ていると、声を出していないはずなのに、すごく熱を感じる。
これを共鳴と呼ばずしてなんと呼ぼうかってくらいに。
そんな熱を感じるからこそ、子どもの頃から大好きなベースを、あの頃の無邪気な心のままで演奏出来てると思う。
だからもはや、この曲に関してはライナーノーツというか、ライブに来てくれたら一発で分かると思う。
上手いとか下手とか関係なく、キラキラした気持ちがどれだけ素晴らしいことか。
汗だくになりながら全力で「いいだろ!」って思いながら歌ってます。
そういう時の自分の姿は、誰になんと言われようが絶対に間違ってない。スーパーイケてる。


アルバムに収録されて化けた曲「ホワイトライクミー」。
先行配信された時から録り直した音があるというのもあるけど、
穏やかな曲が続いたあとにくるこの曲は、より輝きを増しているように思う。
曲の構成もそうだけど、グッとこらえてから放たれる良さがあるなぁって実感した。
ベースラインは緊張と解放を意識して作った。
Aメロはバスドラムとしっかり合わせてタイトなリフレイン。
Bメロで伸びのあるフレーズで緊張を解して、サビで一気に解き放つ!
この流れがうまくいってて、めちゃくちゃ気に入っています。


最後に「いつものこと」。
俺は昔から、日常の中のありふれた物が入っている歌詞が好きなんです。
この曲で言えば、”たばこ”とか”ギター”とかそういうの。
物には人それぞれの思い出があるから、自分の思い出と一緒に歌詞の世界に溶け込める感じがして。
自分の経験と重なる部分を感じるとそれが共感になって、
深く共感できた話っていうのはその人の支えになり得ると思うんです。

なんだかどうしようもない日常を送っている時があって、
それを吐き出したいのに、言葉が見つからない。
そういう時に「いつものこと」を聴くと、自分のモヤモヤが言葉にされていて、
心の中が整理されて、気持ちがゆるやかに落ち着いてくる。
誰かと会わずとも、発散するために身体を動かさずとも、
4分2秒で、気持ちが落ち着いてくる。これって本当にすごいことだと思う。

大はこの曲を自分の日記みたいなものだって言っていたけれど、
だからこそ誰しもに響く曲になった。人それぞれの「いつものこと」がある。
心から名曲だと思ってます。


最後に、このアルバム『FRAGILE』は、総じてメロディーが強いアルバムになったと思う。
メロディーが強いっていうのは、ただ歌のラインが美しいっていうだけではなくて、
ギターやベースやドラム、ピアノも電子音も全部、それぞれの音が引き立たせあうことで初めて得られるもの。
だからこのアルバムは、メンバー全員でちゃんと形に出来た作品だと思ってる。
そして俺は歌詞を書いているわけでは決してないけど、
何かを決心して一歩踏み出すまではいかずとも、
俯いてしまった顔をちょっとあげてみるかって思ってもらえたら、
自分で責めすぎている心を少しでも気遣ってもらえたら、嬉しいです。
レコーディングでもライブでも、いつもそんなことを思いながら弾いてます。



…ということで、俺の視点の『FRAGILE』を書いてみました。
とんでもなく長くなってしまった。ここまで読んでくれて本当にありがとう。
数年、数十年先でも聴きたいアルバムになりました!無事にリリース出来てよかった!
改めて、どうぞよろしく!


---
New AL「FRAGILE」リンク:
https://A-Sketch-Inc.lnk.to/LAMP_IN_TERREN_FRAGILE

2018.12.09

『The Naked Blues』セルフライナーノーツ 〜中原健仁編〜 / 中原健仁

アルバムのセルフライナーノーツを書く。


「どんな曲ですか?」って訊かれれば返しやすいけど、
改まって書くとなるとなぜか、若干緊張してくる。なんだこれ。
こういうの文字にするのってなんか小っ恥ずかしい。
硬くなりすぎず、リラックスして書こう、そうしよう。


多分、超絶長くなるから、落ち着いた暇な時にでも読んでみてね。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「I aroused」を聴くと、どこにいても一瞬でこのアルバムの雰囲気に飲み込まれる。
なんならまさに今、サイゼで一人、飲み込まれてる。
神聖さすら感じるピアノで始まったかと思えば「望まれなくていい」。
第三者的に聴くと「このボーカル大丈夫か」なんて思いながらも、
その先が気になって耳を澄ませている。
「あるがままで光る」というサビの歌詞がこのアルバムを象徴してると思う。
決意表明に思えて、気持ちが整う感じがする。
うん、やっぱり一曲目はこの曲だったんだな。



そのまま「New Clothes」へ。
この自然な繋がりがスタジオで出来た瞬間、
あまりの気持ち良さに何度も聴いた。病みつきになった。
最近は特に、この曲を演奏していると、
「この新しい声で、曝け出した自分自身で踏み出していく」
っていう大の覚悟を勝手に感じてしまって、
負けねえぞ、俺だって踏み出していくぜって思って高ぶる。
脳内イメージは、仲間と肩を並べて歩く〇〇レンジャーな感じ。
信頼しあって前に進んでいくぜって気分。



そして「オーバーフロー」で走り出す。
初めて歌詞をもらった時、なんとなく照れ隠しも含めて
「こんなに裸んぼになってしまって...」とか言ってしまったけど、
本当はそれがすごく嬉しかった。
「フルボリュームで叫ぶよ 君に愛されたい」。
あいつきっとこれ言うの恥ずかしいだろうな、
けど「The Naked Blues」の名の通り、
何も隠さずに伝えようとしてるんだな。
着飾らない真っ直ぐな言葉を放つ人に俺は憧れる。
その真っ直ぐさが最高に男らしくて、よりあいつが好きになった。
その上、コーラスパートまであるなんて...
至れり尽くせりかよ。アツさまでオーバーフローかよ。
思わず拳振り上げちゃう中原氏ですわ。最高。



ハンカチを用意する間も与えず「BABY STEP」。
どアタマのストリングスの時点で全俺が拍手喝采。
素晴らしいメロが続いて、最後は全員のコーラス。
本当にすべてが聴きどころだと思う。
けどこのサビメロは本当に大が頑張った。
スタジオで3人が囲んで大に歌わせまくった。
本当に色んなパターンで大が歌ってるにもかかわらず、
大屋「う〜ん...」
川口「もっといけるはず」
中原「もう一声!もう一声!」。
いじめか。こんな体育会系だったっけ俺ら。
めちゃくちゃ時間をかけて、その成果がちゃんと実ったと思う。
誰に聴かせても堂々と胸を張れる、まさしくLAMP IN TERRENの曲。



このアルバムはどれも歌詞が伝わりやすいと思うし、
何よりも、常に言葉と向き合っている大らしい。
「言葉にするには まだ程遠くて
想いばかりを募らせていく
行き着く先はいつも同じ
愛してるなんて 歯痒い言葉だけ」
感情っていうものを言葉で伝えることは本当に難しい。
ていうかもはや無謀とすら思える。
だけどこの「花と詩人」は、誰しもが持っているそんなモヤモヤを、
大が詩人として、しっかり言葉にしている。
これほど共感した歌詞はないかもしれない。
恋人だけじゃなくて、大切な人には絶対にこの曲を聴かせたい。
難しいレコーディングだったけど、純粋な想いを込められたと思う。
どの楽器もすごく良い音。



なんてしんみりしたところに「凡人ダグ」。
こういう流れが俺ららしくもあるし、強さでもある気がする。
個人的にこの曲は聞くとものすごく苦しくなる。
ダウナーになってる時にこれ聴いたらどうにかなりそうな。
でも、何かに期待して掘りまくった場所には何もなかったのに、
主人公の目が死んでない(俺の解釈では。)ところがすごく好き。
「そのうち見返してやるからな」。
ちなみにこの曲のベース、よく聴くとえぐいことやってるから
是非コピーしてみてほしい。弾けると病みつきになる。
ドゥードゥドゥドゥーデーデードゥードゥデドゥドゥデ!のとこ。



そして同じくコピーしてみてほしい曲上位の「亡霊と影」。
わかるよ。言いたいことわかる。だって俺が弾いてるんだから。
キモいよな。ベースがキモいよな。
けどこの、うねうねしたフレーズは結果的に、
「影」「揺らぐ視界」っていう歌詞によく合ってると思う。
ベースフレーズが言葉をより強くしてる。
スタジオで好き勝手なことをやって、それを大が整理して、
すごく気持ち良くなった。キモいけど。



何ヶ月か前、社会人1年目の後輩から連絡があった。
「まじでありがとうございます」
「なんだよ急に気持ちわりいな」
「俺、この1ヶ月、Dreamsのおかげで頑張れました」
上司からの理不尽なダメ出しに嫌気がさしていた時、
「Dreams」が支えになってくれたらしい。
正直、これほどシンプルな楽曲が響くのだろうかって不安があった。
だけど、その真っ直ぐさがより力になったと。
色んな人の意見を聞くたびに好きになる曲。
俺自身、アルバム製作中にこの曲に支えられた。
「叶わない夢だと知って
僕らは嵐に飛び込んでいく
今も輝いて 心を呼ぶ光の方へ」



歌詞に注目してほしいアルバムだけど、
特に「Beautiful」はサウンドにも注目してほしい。
音の最終チェックをしている時に、一番驚いたのがこの曲。
大がずっと「この曲は雷だ」と言っていて、
俺もそれを表現出来るように、メリハリを意識してフレーズを弾いた。
けど、ここまで雷になったのは、大の構築力とエンジニアさんの力が大きい。
雷の音をそのまま録音したんじゃないかってくらいの音。
2サビ後のゴロゴロ感、サビ頭の落雷感。
ミュージカルみたいな展開をする曲。
是非、良いスピーカーで大音量で体感してほしい。



おまじない」のデモを聴いた瞬間、
最後のサビの転調が幸福感に溢れていて、
兄貴の結婚式が頭をよぎった。
アルバム発売前に兄貴がうちに泊まりにきた時、
何も言わずにしれーっと流したら、すごく気に入ってくれていて、
少しだけ運命じみたものを感じた。これが兄弟ってものなのか。
この曲の歌詞がとんでもなく好きで、
自分がこれを誰かに話している妄想をすると
うっかり泣きそうになる。我ながら引くわ。
「優しさなんて本当は 自分以外の誰のためでもない
時には嘘にもなる でも僕は君に使う ほんの少しぼくのため
君に笑ってもらうための おまじないを使える 」
こんなこと言ってみてええ!!!さ、寂しいいい!!!



「寂しさはきっと愛しいもの 繰り返しながら埋めていくよ」
やさしいかよ!!!イケメンめ!!!
「Water Lily」のこの歌詞が送られてくるまで、
俺にとって寂しい気持ちっていうのは
ただ取り払いたいものでしかなかったけど、
こんな考え方もあるんだなって気付かされた。
この曲はアルバムに入ってからより輝きを増した気がする。
バラードというよりは、自然に体が揺れるミドルチューン。
バンドとして新しいサウンドに挑戦した曲でもあって、
ライブと音源で違った味が出てると思う。
人肌を感じるような演奏を心がけてる曲。
あと真ちゃんのギターソロ必聴。再生するたびに楽しみなポイント。



最後は「月のこどもたち」。
この曲は、LAMP IN TERREN自身であり、
その音楽を聴いてくれる人たちの歌だと思う。
一人一人が持つ小さな光でお互いを照らし合えば、
大きな光を放てるんじゃないかという。
だから、「I aroused」で始まって、
この曲で終わることにすごく納得がいく。
大事なことがたくさん詰まった曲。
これからも傍で照らし合えたらいいな。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



あとがき



中学生の頃、GRAPEVINEの「イデアの水槽」というアルバムに出会った。


いきなりなんの話じゃいって感じだけどまあ聞いて。
一曲目の「豚の皿」という曲は、ぶっちゃけ、中学生の俺からすると
夜道に流れてきたら小走りで帰りたくなるほどダークだった。一曲目なのに。
だけど衝撃的だった。
俺がずっと聴いていた音楽は、こんな始まり方は絶対にしなかった。
だから本当によく聴いた。全曲めっちゃ聴いた。
それなのに今聴いても、やっぱり同じように衝撃を受ける。
多分、これからもずっとそう。


何が言いたいかっていうとつまり、
このいつまでも色褪せない"新鮮な衝撃"が、
このアルバムにもあると思った。


今回改めて聴いてみて、
初めて良いと思えたところはやっぱり今でも鮮度バツグンに良かった。
それだけじゃなくて、新しい発見もあった。
色褪せるどころか、聴くたびに鮮やかになっていくなんて。


胸を張って言える。これは自信作だ。
いつまでもこのアルバムを聴いてほしい。
何かでつまづいてしまった時、踏み出す勇気が出ない時、
きっと、背中を押してくれるはず。


うん。よし。それじゃ!
最後まで読んでくれてほんと、ありがとう。


「The Naked Blues」、自由に楽しんでね!

2018.04.12

弾丸ソロ動物園 / 中原健仁



先日、長崎LIVE SHUFFLEと感エロツアーの間の数日間だけ、

長崎の祖父母の家に帰りました。




初日の昼間は色々な収録や生放送があったのですが、

FM長崎「spicy voxx」に出演したとき、

なんと"お天気お兄さん"をやらせて頂きました。



念願のお天気お兄さん。

しかし、公開生放送という緊張感に加え、

目の前にはDJマークさん&たかじゅんさんというスーパープロ。

隣からは姿を見ずとも伝わる「噛めばいいのに」という念。




高鳴る鼓動。震える指先。渇く喉。あとついでに花粉症。




とても冷静とは言えない状態のまま、スタートしました。







か、噛まなかった...。







流れ的には噛んだ方が面白かったかもしれませんが、

そういう時ばっかりクリアしてしまうのが中原クオリティ。



DJマークさんが読みやすいように作ってくれた原稿のおかげで、

なんとかやり切りました。圧倒的感謝です。

一日中、この生放送に緊張して過ごしていたので、

ようやくホッと出来ました。




夜は祖母が営む焼き鳥屋さんへ行き、

店のお客さんや祖母とお酒を飲み、楽しくその日を終われました。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




翌日。




松本先生以外は一日オフでした。(先生は福岡で単独お仕事)



後日聞いた話ですが、

真ちゃんは実家でまったりと過ごし、

大喜はなぜかマグネットを作っていたらしいです。

そして俺は人生初のソロ動物園をキメました。




急だったのでもう一度言います。







中原健仁25歳、ひとりで動物園に行きました。







理由はいたってシンプルです。

祖父母の家で「砂漠の生き物展」というCMを観たから。

リクガメかわいいから。フトアゴヒゲトカゲ見たいから。

あとペンギン好きだから。つまり、思いつきです。




しかし、俺は肝心なことを忘れていました。



前日のラジオ生放送を振り返ってみましょう。

しっかりばっちりはっきりと俺は言いました。




「明日は各地、くもり時々雨でしょう。」

「雨の降る確率、明日午後は50%〜60%でしょう。」




さすがです。

恐れ入りました。

ええ、馬鹿なんです。




それでも奇跡を信じるのが中原クオリティ。

バスの中で念じ続けました。まじ健気。






森きらら



うん、雨!あと風すっごい!



しかも乗り継ぎに失敗して、閉園1時間前に着きました。



ですが、せっかく来たんです。気を取り直していきましょう。








フラミンゴ



フラミンゴです。鮮やかですね。



しかし雨です。








同居中



同居中の馬です。いいですね。



僕はひとりです。








ぺんぎん



俺の推し動物、ペンギンです。かわいい。



けど、あの、速すぎませんか。








仙太郎



そしてフトアゴヒゲトカゲ。



こいつにはかなり癒されました。

ほぼ動かないけど、ドラゴンみたいでカッコいい。



この場所は雨風をしのげて最高でした。

他にもカメやサソリなんかもいて、

ほとんど時間ない中で、一番長く見てました。

俺は爬虫類が好きらしいです。








きりん



最後はキリンです。



雨風すごすぎて撮影どころじゃなかったけど、

思ったよりでかくて感動しました。

あとめっちゃ走りまくっててびびった。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







前半は雨風のすごさとひとりぼっちさに切ない感MAXでしたが、

意外と動物たちが活発で楽しめました。

動画もたくさん撮りましたが

俺がカメラを回すたびに園内中央の猿が叫びまくってて、

とても上げられるものじゃなかったです。

あいつら元気すぎ。



今度はちゃんと天気予報見てから行きます。ちゃんと。

あと開園と同時に入って、ゆっくり見て周りたい。



また長崎帰ったときに、時間あったら行こうと思います。

寂しいから今度は友達か家族かメンバーを連れて。






それではまた!

2017.09.24

第五回「大家さんがこわい」 / 中原健仁




今の家に引っ越してきて、もう少しで1年が経ちます。


住み始めたばかりの頃は


電気が付かなかったり、お湯が出なかったり、なにかと大変でしたが


目の前の公園は愉快だし、夜は静かだし、


今は基本的には暮らしやすくて気に入っています。


しかし、なかなか馴染めない部分もあります。







その1


大家さんがなかなか名前を覚えてくれない。





ご高齢だし仕方がないかなぁとは思うのですが、


でもやっぱり名前を呼んでくれるのであれば、ちゃんと覚えてもらいたい。


僕の名前を知っていただく機会は何度もありました。



中原「内見をお願いしていた中原です。」


中原「入居させていただく中原です。」


契約書「入居者 : 中原健仁


大家さん「これからどうぞよろしくね。中西さん。」


中西「 Wow 」





二年前、街で「西原さん!」と呼ばれたこともありましたが、


僕の名前はなぜ西へ行きたがるのでしょうか。


東西南北のどちらでもありません。センターです。


とかいうとセンター原になってしまうのでしょうか。もうそれ原さんじゃん。


しかしまあ、めげずに主張していこうと思います。









その2


洗濯物がまあ良く落ちる。





これは100%僕が悪いです。


遠征で洗濯物が溜まろうものなら、


洗濯機「ぱねぇ」


ってくらい詰め込んでしまいます。物干し竿をフル活用しないといけません。


しかしそうすると、2階に住んでるもんですから、手が滑ると下に落ちちゃうんですね。


こないだパンツを落とした時が酷かった。


ただ落とすだけならまだ良かったんです。






中原「あっ」


手が滑り不運にもパンツを落とす中原。その瞬間。


ガラガラッ


大家「あらっ、パンツ!」


大家「中西さん、このパンツあなたのよね?!」


2階建ての2階に聞こえるよう、大きな声で呼びかける大家。


放射状に広がる" パンツ "という言葉。


出来ればそのまま天高く消えてほしかった" パンツ "。


しかし願いとは裏腹に、そして無邪気に中原を突き刺した。


中原「いや、えっとその...」


大家「あれ?このパンツ、あなたのじゃないの?」


誰にも引き取られない場合を恐れたのであろう。


" パンツ "の第二波は、より強力であった。


完璧に打ちのめされた中原。こうなれば第三波を阻止することが最優先である。


中原「僕のパンツです...。あと中原です。」


肩を落としながらもダッシュで一階へ。


大家「良かったわ~あなたのパンツが干からびなくて(笑)」







恥ずかしさのあまり小説みたいな書き方になってしまいました。


穏やかでやさしい人だと思っていた大家さんですが、


あんなにパンツを連呼する人だったとは。


「干からびる」って言葉のチョイスも笑いのツボも、なかなかです。




今朝会ったときも、


大家さん「昨晩どこかの部屋が騒がしかったから、言いに行こうと思ったのよ。」


中原「あら、そうだったんですね~。」


大家さん「あなたの部屋かと思って覗いちゃったんだけど、ごめんなさいね~。」


中原「あ、いえいえ...( えっ?)」


大家さん「結局どこの部屋も静かだったのよ。勘違いだったのかしらね~」





なんてことがありました。ちなみに昨夜、僕は家にいません。


部屋を覗く大家さんも謎の騒音も、


あとついでに「こらしめちゃおう」も、全部怖すぎます。







他にも挙げれば色々ありますが、


書きすぎてる気がするので、今日はこの辺で!




2017.09.15

第四回「蚊がきらい」 / 中原健仁





季節はだんだん秋になり始めました。


すっかり涼しくなったもんだから


「よしこれは革ジャンか。そうだ間違いない革ジャンだ。」


なんて意気込んで着ていくと、しかしまだ早すぎたのか、


街中はまだ半袖のおニイさん方が" 残暑 "を彩っていました。


そんな中一人厚着をしていることに凹みかけましたが、大したことではありません。


俺があの街に「革ジャン開き」の合図を出しただけのこと。


まあいつか、一年通して革ジャン着たいと思ってるので、余裕です。






何かが始まるときは何かが終わるときです。


半袖が終われば革ジャンが始まります。


つまり、秋が始まったということは、夏が終わったということです。


終わったはずなんです。


あの夏の魔物もどこかへ消えたはずなんです。







魔物『プーーーーーーーーーーーン.....』



俺『え?』



ぺしっ



魔物『....プーーーーン........』







俺「...えっ?」







ナタリーさん、見出しは


「テレンBa.中原 9月中旬、蚊に絶句」


でよろしくお願いします。








5月 一晩で数か所刺され、夏を実感する。が、早すぎて不安になる。


6月 刺されすぎて悟りを開く。蚊を受け入れることにする。翌日、ついうっかり殺める。


7月 ウナクールが切れる。買いに出た一歩目を刺されて今度は俺がキレる。


8月 真ちゃんに弱者認定される。しかし、もう終わると思うと気は楽だった。


9月 えっ? ←NEW!!






もうほんとに勘弁してください。


俺がなにをしたっていうんだ。なんで5か月も蚊で苦しんでんの。


先月は5日間、やつは俺の家にいました。


帰れ。森に帰れ。


ゴキブリと同じくらいやつが嫌いです。


ちなみに真ちゃんは幼い頃から刺されまくって


痒さを感じないらしいです。強すぎ。ニュータイプ。




来月こそは刺されないことを祈ります。いっそ部屋でも革ジャン着て武装します。






最後に蚊の皆様へ。


今年分の血液は完売しました。閉店です。


うちの玄関前に並んでも無駄です。相手は革ジャンです。


来年は蚊取り線香に虫よけスプレーの厳重警戒態勢で臨みますので、


それらを搔い潜ってきた猛者の方にのみ販売します。


ご了承ください。それではまた。


2017.09.05

第三回「それでもお酒が好き」 / 中原健仁




幸か不幸か、僕はあまり派手な酔っぱらい方はしません。



素行が悪くなったり、失踪したり、泣き上戸になったり、

「at (liberty)」という曲を

大喜「りばひぃー」

と言うくらい呂律が周らなくなったりと、

人によって酔い方は様々ですが、

僕はテンションが高くなって声が少し大きくなるくらいで、

わりと意識ははっきりしてる方だと思ってます。



ですが、それでもお酒にまつわる失敗はあります。






初めての失敗は大学の飲み会でした。



あまり参加できていなかったサークルの、

「引退お疲れさま」飲み会でした。



幽霊部員的なポジションだった僕を

複数人が「おいでよ」って誘ってくれたので、

それはもう嬉しくて嬉しくて。



学食でなんとなく一緒になってた名前を知らないあの人や、

「あっ、お、おす!」しか会話したことのない彼も来るそうです。



あまりに楽しみすぎて舞い上がった僕は

遥か彼方、3駅先の駅に向かってなぜかチャリンコを飛ばしました。



駆け出して一つ目の駅あたりでガラスを踏むアクシデント発生。



まんまとパンクしたので、駅まで走って結局電車に乗りました。

かなり早めに出たのに、汗だくで遅刻寸前の電車でした。笑えます。





なんとか間に合った飲み会は、いかにもな感じでした。

上裸で張り手しあってる男3人、それを取り巻くウェーイ族、泥沼しかない恋愛トーク。

なんて分かりやすいんだサークル飲み会。



テンション的に遅れをとった僕は、うどんを啜っていました。

無駄に走ったせいでお腹が空いていたんです。

飲み会でうどんを啜ることがこんなに楽しいとは知りませんでした。



しかしそんな僕の前に、酒豪が現れます。

左手に日本酒、そして右手におちょこが二つ。




酒 豪 「 飲 も う や 」




これまたいかにもなセリフで攻めてきました。さすがです。

思わず斜体にしてしまいました。スピード感が違います。




うどんを片している間に酒豪がお酒を用意してくれました。

語らいながらチビチビ飲む。最高だな。

そう思ったのも束の間、おちょこを飲み込む勢いで一気に飲み干す酒豪。

あっけにとられる僕を促す酒豪。



酒 豪 「 う ま い ! 」



僕 「 ゔ わ ぁ ぁ 」


まっっっっっずぅぅ.....




マーライオンは免れましたが、

お酒なのに甘いっていうのが衝撃すぎました。



その後も何杯か飲みましたが、ほぼ初めての日本酒が

どうも味が合わなかった&飲み慣れてなさすぎて、

すぐに酔いが回ってしまった結果。

酒豪との対決はわずか5分で終了しました。



あれだけ楽しみにしていた飲み会でしたが、

初めてお酒で気分が悪くなったので、早々に帰宅しました。

酔いが回っていたせいか、帰りはなぜか徒歩でした。

パンクしたチャリもしっかり回収して帰りました。





その日からずっと日本酒を避けていましたが、

"辛口"から慣れていって、今では好きなお酒になりました。

日本酒の扉をこじ開けてくれた酒豪にも感謝しています。




色んなお酒の失敗談を聞きますが、

お酒は、味に関して言えば慣れだと思っています。

小さい頃嫌いだったコーヒーが好きになった!みたいな。



無理をせず、ゆっくり色々な種類に慣れていくことをお勧めします。

きっといつかは好きになれるんじゃないかな。




でも、くれぐれも無理をせず。

どんなコミュニティにも必ず、酒豪というか魔王はいます。

レベル1ではラスボスに勝てません。

仲間に出来るくらいにレベル上げして臨みましょう。



それでは、よいお酒ライフを。

2017.08.25

第二回「譲り合いは避けたい」 / 中原健仁

先日、というか昨日。



僕らのLINE LIVE番組、通称「LITV」の撮影がありました。



その帰りに起きた、なんとも言えないお話です。










僕、真ちゃん、大喜の3人で電車に乗りまして、



最初は満席だったのですが、すぐに席が一つ空いたんです。



まず大喜が座り、次にじゃんけんで勝った真ちゃんが。



僕は真ちゃんの前に立って、3人で話していました。



しばらくして次の駅に到着。大喜の隣が空きました。



しかし、空いた席の前には、大学生っぽい娘さん。






ここまでを整理するとつまり、こんな状態です。



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話していた様子を見ていたからか、



娘さんに「どうぞ」と促されました。



しかし、僕も「いえいえ、娘さんこそどうぞ」と手で応じます。



それとほぼ同時に娘さん。僕よりも優先すべき相手を見つけたのでしょう。



新しい乗客、爺に「どうぞ」と声をかけます。その距離約2m。



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しかし爺もまた、僕と娘さんのやりとりを見ていたのか、



若干座りたそうでありながらも「いやいや、大丈夫だよ」と躱す。



この時点ですでに2人もの乗客に、譲り合いリレーのバトンをスルーされてしまった娘さん。



集まるギャラリー(乗客)の視線。プレイヤー(僕・娘さん・爺)に降りかかる謎のプレッシャー。



ここで終わるわけにはいかないと誰もが思ったその時。




爺が動いた。




さらに後方に居た婆に声をかけたのである。



爺「あっ、どうぞどうぞ!」



ここぞとばかりに乗っかる娘さん。



娘さん「どうぞー!!」



ここまでくると、もはや譲り合いなのかなんなのか。








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まさかつい先刻までギャラリーだった自分が



4m先から謎の土俵に引き上げられるなど、ついぞ思わなかっただろう。



現役のリレー選手でも、4m先からのバトンはさすがに受け取れまい。



明らかに焦りが伺える婆。もう、頼むから座ってくれ、婆。







婆「も、もうすぐ降りるから、降りるから...だいじょうふょ...」





BAA――――――――!!!!!!





全プレイヤーの望みを絶ち切った婆、さらに奥へ行き、退場。



ただならぬ空気の中、いつもは嬉しいはずの空席が禍々しいオーラを放つ。



騒動に乗じてどこかへ消えた爺。取り残された僕と娘さん。



ダメ押しでもう一度、娘さんに声をかけてみる僕。



僕「ど、どうぞ...。」



娘さん、無言でスッと一歩下がり、伏し目がちに首を横に振る。





ああ....。これはもう、だめだ。だめなやつだ....。





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諦めて魔の椅子に座しました。なんたるプレッシャー...。





譲り合う心。それは素晴らしいものです。

しかし、もし、あなたが譲っていただいたときは、

まず周りを確認してみてください。

そして大丈夫そうなら、どうかスッと座ってください。

謎のバトンリレーが始まることはきっとありません。

みんなハッピーです。椅子も禍々しいオーラなんか放ちません。



それでは、また来週!


2017.08.17

第一回「ベースが好き」 / 中原健仁



どうも。1か月ぶりの健仁です。



今まで月1にも満たないペースで更新してきましたが、

ついに始めます。週1ペースのブログコーナー「○○が好き」。



僕が好きなものや嫌いなもの、

ネタに困ったらなんでもないものまで書いていきます。



ぶっちゃけ、第一回から不安しかありませんが、

書く文章量は意識せずに、ちまちまやっていこうと思います。




というわけで、記念すべき第一回だし、

今回は僕の好きなもの。"ベース"について書きます。



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ベースの何が好きかってもう、

マイベースが好きだーーーーー!たまらない!!もう、言いようのないくらいに好き!!



言いようがないので以上です!




嘘です。ちょっとトイレ行きたかったんです。



けど、本当に叫びたくなるくらい大好きな、マイベース。







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「Fender JAPAN : Jazz Bass 75'Reissue」



中学2年生の頃、真ちゃんと初めて遊んだ日、こいつに出会いました。

その時はこんなピッカピカな姿。テッカテカ。ツッルツル。

小学1年生のような純粋無垢さを放っています。



木目が最高に格好良くて一目惚れして、

いつか絶対に買ってやろう。ってその日決めました。

試奏するのがなんかおっかなかったから、弾きもせずに決意しました。




そして中学3年生の終わり頃、

お年玉全部とお小遣いと爺ちゃんのバックアップで購入しました。

(後日、爺ちゃんが母ちゃんに怒られる。拗ねてた。)




とにかく嬉しくって、家に帰ってからすぐに

弾きまくって、飾って、ひたすら眺めては「すげえ」って言ってのループでした。

毎日弦もボディも磨いて、少しでもぶつけようものならベースに謝るほど、

大事に大事にしていました。それはもう、我が子のように。





7年後。





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見違えたよね。ってかもうこれグレたよね。

ギャンギャンに削れて、薬品で錆びたり色が付いて、

もはやヤンキーチームの頭張ってるとか通り越して、北斗の拳とかに出てきそうだもん。



年を重ねる毎に知識も増えていき、

ピッカピカのベースへの初々しい気持ちを忘れ、

段々とヴィンテージ楽器の渋さに魅了された結果、

リペアマン兼クラフトマンの方に派手に削ってもらうという、

昔ではとても考えられない暴挙に出ました。




~15歳のキミへ~



念願のFenderのベース、ついに手に入れましたね。

おめでとうございます。

毎日たくさん弾いて、眺めて、磨いていますね。

父ちゃんが柿の種をベースにこぼした時、

反抗期のキミはちょっと涙堪えながらプチ切れましたね。

気持ちはすごく分かります。



でも安心してください。



10年後、削ります。



キミは自分の意志で、意気揚々と、削ります。



柿の種なんてちょっと払えば済む話じゃないですか。

お父さんには今すぐ、俺もごめんって謝りましょう。



なぜならキミは10年後、薬品をぶちまけます。



いいですか。

10年後のキミは、削った挙句にぶちまけます。

洗剤を付けた激落ちくんでも敵わないほどの薬品を、ぶちまけるのです。



なんならこの文章を打っている最中に

手元が狂ってウナクール塗っちゃいました。これはまじごめん。



...どうか安心して、練習に勤しんでください。



~10年後のワタシより~





謝罪も済んだことなので、なぜこうしたのかと言うと、

ヴィンテージへの憧れだけってわけではないのです。



こういった"塗装を削る(剥ぐ)加工"を、レリック加工というのですが、

レリックをしたことでこのベースは、木の鳴りが段違いに良くなったのです。

ギュッと締まった音から、温かい低音が出るようになって、

低音から高音までバランスが良くなりました。

まあともかく平たく言うと、音が良くなりました。それこそ見違えるほど。



あとこれはついでだけど、ボディが軽くて暴れやすい。



でもなによりも、やっぱり長年ずっと触ってきたことが大きいと思います。

愛着は変わらないどころか増すばかりです。そりゃそうか。

これからどんな音になっていくのか楽しみでたまらない。



こいつだけはずっと手放さないで、恐らく本当に墓まで持っていきます。



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最後に、

これから楽器を始める方によく、

「どんなものを買えばいいか分からない」と聞かれます。

色んな見方のアドバイスがあると思いますが、

僕は断然、「まず見た目がグッときたもの」を推します。



なぜなら、きっと弾きたくてたまらなくなるから。

そして大好きな楽器を演奏する自分もきっと好きになれるから!

なによりもまずは「楽しい」と思うことが大事だと思います。

楽しくって弾いているうちに、他の機材が必要になって、

そこから色々試したらいいと思います。




ので!もし興味を持った方はぜひ!!

Twitterなりなんなりで俺に自慢してください。笑




それでは第一回はこの辺で!


2017.07.06

ありがとう! / 中原健仁



最近、亀がすごく好きです。



のほほんと何を考えてるのか分からない

あの感じがたまらない。

どこかで出会うたびに、きっと馬鹿なんだろうなぁって思いながら眺めてます。

亀ごめん。



なんとなく顔似てる気するけど、

俺と一緒にしてごめん。亀ごめん。



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ワンマンツアー「in "fantasia"」が終わりました。

来てくれた、見てくれた皆様、本当にありがとうございました。



アルバムをレコーディングしてる時から、きっとみんなが思わず笑顔になってしまうような、楽しいライブになるだろうとは思ってましたが、

予想以上にパァッとした笑顔に溢れていて

たまらなく幸せでした。



映像を見返してみても俺が終始笑っていて、

自分が親ならきっと「シャンとしなさい!」なんて叱ってしまうくらいでした。



けどそんな笑顔も全部、

一緒にライブを楽しんでくれたみんなからもらったものです。

笑顔が笑顔を作る。素敵すぎる。




今回のツアーは、より「一緒にライブをしよう」っていう意思を示せたと思います。

大喜のMCで会場のみんなと笑い合ったり、

同じリズムで体を揺らしたり、歌ったり、

大が客席に飛び込んでいってみんなで踊ったり。笑



そんなライブをみんなと作っていく中で、

「fantasia」というアルバムが、

どんどん大きな光を放っていきました。



改めてこのアルバムを聴いていると、

一曲一曲の密度がより増した気がします。

前からだいぶ濃い曲たちだったけど。笑



このツアーを、アルバムを、特別な日を、

一緒に作ってくれて

本当にありがとう!!!




9月から始まる13公演のツーマンツアーも是非!遊びにきてね!!

http://eplus.jp/lit2017ftthp/
先行予約は7/10 23:59まで!!




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IMG_8448.JPG




ほら可愛い!!!!



どう考えても可愛いわ亀... 馬鹿にして亀ごめん...




ずっとペンギン及び猫好きを公言してきたけど、

ここにきてやはり亀が来てます。

陸ガメでも海ガメでも銭ガメでもいいから飼いたい。



これから僕にツイッターで可愛い画像を送るなら、

亀でお願いします。

あんまりグロテスクじゃない系の亀。亀。




てことで、リプライを楽しみにしつつ終わります。



書きたいこと他にもあったんだけど、

それはまた書きます。近いうちに。



それでは〜!!


2017.04.12

「fantasia」セルフライナーノーツ中原編 / 中原健仁

せっかく4人がそれぞれ書くんなら、

僕らしい視点で書いてみようかなーと思いまして、

気持ち的にサブタイトルは



ベーシストとしての『fantasia』



でいきたいと思います。



長文になりますが、『fantasia』を鳴らしながら、

まったりお付き合いくださいな。



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1.キャラバン



「とにかく楽しく、無邪気に」を心掛けた曲。

デモをもらった段階から、子供がはしゃぎ回ってる様子が浮かんで、

その雰囲気でフレーズを作りました。

イントロ、間奏、アウトロが特にはしゃいでます。

アルバムではギターのコード一発から始まりますが、

あの音が「fantasia」っていう国に入国した合図みたいで、すごく好き。




2.地球儀



僕らの新しい一面が分かりやすく出た曲かなと思います。

各楽器の絡み合いが面白い曲。

しかしながら、まあ難しかった!!とにかく難しかった!!

LAMP IN TERRENの楽曲を作るうえで

「作曲者に求められることが出来ない」ってことが僕は一番嫌なので、

それなりに練習しました。そして自分でさらに難しくしました。俺の馬鹿!!

けど、大サビ前の加速するようなフレーズとか、すごく気に入っています。

あと真ちゃんのソロがヤバいよね。震えるくらいエロいよね。




3.涙星群の夜



基本的にはずっと走ってるんだけど、

たまに空を見上げたりもしてるなぁってイメージだったので、

疾走感を出しつつも緩急をつけてみました。

それからこの曲はドラムがすごく好きです。

サビでライドを叩くとこがあるんだけど、

僕の中ではその音が「星」なんですよね。煌めいてる。

ライブでも結構やってるけど、

皆が楽しそうに手を伸ばしてくれてすごく嬉しくなります。




4.heartbeat



この曲のベースは「心臓」です。

色んな感情の変化に伴って変わる"鼓動"を表現しました。

速く力強く脈打つときもあれば、静かにふるえるときもある。

主人公の気持ちが強く描かれている2サビの部分、

激しくドクンてなるのを出したくて色んなフレーズを考えたんだけど、

結果的にすごくしっくり来るものになりました。思い入れのある一曲。




5.innocence



ずっと、ザワザワしてます。気持ちがざわついてます。

"憎しみ"とか"歯痒さ"とか、とにかく負のエネルギーが根底にあります。

だけど、誰かにぶつけるようなものではなくて、

光に向かっていくために必要なエネルギーという感じです。

何度も挫折を繰り返して、それでも見える光を追いかける。

このアルバムの中で一番鋭く尖っています。

ライブではいつも「歯食いしばって立ち上がったれ!」って感じで、

弱っちい自分に向けて叫んでます。




6.at (liberty)



完全に僕の趣味にマッチした曲です。笑

"雰囲気を作ってるのが実はベース"って曲がすごく好きなですけど、

この曲でそれが出来たと思っています。

じわじわと地を這いながら向かってくるベースラインが我ながら超好きです。

特に、アウトロのハイポジションに上って降りていくフレーズ。

あとこの曲、低音が異常にでかいです。

エンジニアさんと相談しながら音作りしたけど、

ここまでグアッとベースが出たものがこのバンドで出来るとは。新たな一面。




7.pellucid



初めて明確な"ラブソング"を弾きました。

歌詞を読んだときにこの主人公があまりに心配になって、

寄り添ってやりたいと思いました。笑

「きっと僕が素直であることを君は知る由もないままだろう」

たくさん好きな部分はあるんだけど、この歌詞にすごく共感しました。

もしもこの"僕"が俺だったら、これを悟った瞬間、とんでもなく辛いだろうな。

どうりでベースラインも震えるわけです。

個人的には歌詞と一体化できたかもと思えて、ライブが楽しい曲。




8.オフコース



打って変わって、陽気な雰囲気が漂う曲。

最初の方は大の弾き語りメインな音源になる感じだったけど、

バンド編成でのアレンジにシフト。

GibsonのEB-2っていう、セミアコースティックベースで録音しました。

ボディにぽっかり穴が空いていて、丸くてあたたかい音が出るのが特徴なんだけど、

これまた弾くのが大変で...。

普通の弾き方じゃなくて、弦をバチッと鳴らすようにして弾きます。

他にも、フレーズを弾くときに少し指を滑らせたり。

けど、すごく楽しいレコーディングでした。

ちなみにこの曲、ごはん作りながら聴くのが僕はすごく好きです。笑




9.不死身と七不思議



LAMP IN TERREN史上、最もポップでキャッチーな曲だと思います。

だけどベースの音色的はちょっとイナたさがあって、

その合わさりが面白くてお気に入り。

もうこの曲、ライブでやると一瞬で楽しくなっちゃうから、

すごいパワーを持った曲だなぁと思う。

ベース的推しフレーズは2Bの転がるようなとこです。必聴!




10.eve



もう2サビ後のセクションは、毎回胸をアツくさせられる。

「震えていたっていつか暗闇が僕を迎えにくるかも」

「その時が来てもきっと俯かないで君のもとに会いに行くよ」

こんなの心の中で叫ばずにはいられない。

だんだん胸の内の思いがボロボロ零れていくような曲で、

それに呼応するかのようなアレンジになりました。

最初はやさしい浮遊感が出てるんだけど、

時間が進むにつれてだんだんロックになるっていう。

ベースも実は1サビまでは指弾き、それ以降はピック弾きにして、

やわらかさとゴリゴリさを出しています。

歌と一緒にメロディーを弾いたり、ベースで和音を鳴らしたり、

表情豊かな曲になりました。苦しかったけど、楽しかったな。



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いやはや、これは書き出したらどこまでも書いてしまうやつだ。

今回本当にどの楽器も良い仕事してて、止まらなくなった。

聴きどころがたくさんあるということですね。



聴くたびに新しい発見があるようなアルバムになったなと思います。

改めて聴いてると、ほんとに内容が濃い。キャラが強い!笑



僕なりの視点で書いてはみましたが、

本当に自由に楽しんでもらえたら何よりです。

それぞれの景色の中で「fantasia」を鳴らして、

自分だけの「fantasia」を持ってくれたら、

こんな嬉しいことはないなぁと思います。




長文になりました。読んでくれてありがとう!