第四回「蚊がきらい」 / 中原健仁
季節はだんだん秋になり始めました。
すっかり涼しくなったもんだから
「よしこれは革ジャンか。そうだ間違いない革ジャンだ。」
なんて意気込んで着ていくと、しかしまだ早すぎたのか、
街中はまだ半袖のおニイさん方が" 残暑 "を彩っていました。
そんな中一人厚着をしていることに凹みかけましたが、大したことではありません。
俺があの街に「革ジャン開き」の合図を出しただけのこと。
まあいつか、一年通して革ジャン着たいと思ってるので、余裕です。
何かが始まるときは何かが終わるときです。
半袖が終われば革ジャンが始まります。
つまり、秋が始まったということは、夏が終わったということです。
終わったはずなんです。
あの夏の魔物もどこかへ消えたはずなんです。
魔物『プーーーーーーーーーーーン.....』
俺『え?』
ぺしっ
魔物『....プーーーーン........』
俺「...えっ?」
ナタリーさん、見出しは
「テレンBa.中原 9月中旬、蚊に絶句」
でよろしくお願いします。
5月 一晩で数か所刺され、夏を実感する。が、早すぎて不安になる。
6月 刺されすぎて悟りを開く。蚊を受け入れることにする。翌日、ついうっかり殺める。
7月 ウナクールが切れる。買いに出た一歩目を刺されて今度は俺がキレる。
8月 真ちゃんに弱者認定される。しかし、もう終わると思うと気は楽だった。
9月 えっ? ←NEW!!
もうほんとに勘弁してください。
俺がなにをしたっていうんだ。なんで5か月も蚊で苦しんでんの。
先月は5日間、やつは俺の家にいました。
帰れ。森に帰れ。
ゴキブリと同じくらいやつが嫌いです。
ちなみに真ちゃんは幼い頃から刺されまくって
痒さを感じないらしいです。強すぎ。ニュータイプ。
来月こそは刺されないことを祈ります。いっそ部屋でも革ジャン着て武装します。
最後に蚊の皆様へ。
今年分の血液は完売しました。閉店です。
うちの玄関前に並んでも無駄です。相手は革ジャンです。
来年は蚊取り線香に虫よけスプレーの厳重警戒態勢で臨みますので、
それらを搔い潜ってきた猛者の方にのみ販売します。
ご了承ください。それではまた。