第五回「大家さんがこわい」 / 中原健仁
今の家に引っ越してきて、もう少しで1年が経ちます。
住み始めたばかりの頃は
電気が付かなかったり、お湯が出なかったり、なにかと大変でしたが
目の前の公園は愉快だし、夜は静かだし、
今は基本的には暮らしやすくて気に入っています。
しかし、なかなか馴染めない部分もあります。
その1
大家さんがなかなか名前を覚えてくれない。
ご高齢だし仕方がないかなぁとは思うのですが、
でもやっぱり名前を呼んでくれるのであれば、ちゃんと覚えてもらいたい。
僕の名前を知っていただく機会は何度もありました。
中原「内見をお願いしていた中原です。」
中原「入居させていただく中原です。」
契約書「入居者 : 中原健仁 」
大家さん「これからどうぞよろしくね。中西さん。」
中西「 Wow 」
二年前、街で「西原さん!」と呼ばれたこともありましたが、
僕の名前はなぜ西へ行きたがるのでしょうか。
東西南北のどちらでもありません。センターです。
とかいうとセンター原になってしまうのでしょうか。もうそれ原さんじゃん。
しかしまあ、めげずに主張していこうと思います。
その2
洗濯物がまあ良く落ちる。
これは100%僕が悪いです。
遠征で洗濯物が溜まろうものなら、
洗濯機「ぱねぇ」
ってくらい詰め込んでしまいます。物干し竿をフル活用しないといけません。
しかしそうすると、2階に住んでるもんですから、手が滑ると下に落ちちゃうんですね。
こないだパンツを落とした時が酷かった。
ただ落とすだけならまだ良かったんです。
中原「あっ」
手が滑り不運にもパンツを落とす中原。その瞬間。
ガラガラッ
大家「あらっ、パンツ!」
大家「中西さん、このパンツあなたのよね?!」
2階建ての2階に聞こえるよう、大きな声で呼びかける大家。
放射状に広がる" パンツ "という言葉。
出来ればそのまま天高く消えてほしかった" パンツ "。
しかし願いとは裏腹に、そして無邪気に中原を突き刺した。
中原「いや、えっとその...」
大家「あれ?このパンツ、あなたのじゃないの?」
誰にも引き取られない場合を恐れたのであろう。
" パンツ "の第二波は、より強力であった。
完璧に打ちのめされた中原。こうなれば第三波を阻止することが最優先である。
中原「僕のパンツです...。あと中原です。」
肩を落としながらもダッシュで一階へ。
大家「良かったわ~あなたのパンツが干からびなくて(笑)」
恥ずかしさのあまり小説みたいな書き方になってしまいました。
穏やかでやさしい人だと思っていた大家さんですが、
あんなにパンツを連呼する人だったとは。
「干からびる」って言葉のチョイスも笑いのツボも、なかなかです。
今朝会ったときも、
大家さん「昨晩どこかの部屋が騒がしかったから、言いに行こうと思ったのよ。」
中原「あら、そうだったんですね~。」
大家さん「あなたの部屋かと思って覗いちゃったんだけど、ごめんなさいね~。」
中原「あ、いえいえ...( えっ?)」
大家さん「結局どこの部屋も静かだったのよ。勘違いだったのかしらね~」
なんてことがありました。ちなみに昨夜、僕は家にいません。
部屋を覗く大家さんも謎の騒音も、
あとついでに「こらしめちゃおう」も、全部怖すぎます。
他にも挙げれば色々ありますが、
書きすぎてる気がするので、今日はこの辺で!