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2020.11.18

FRAGILE セルフライナーノーツ (Gt.大屋編) / 大屋真太郎

こんにちは。大屋です。


つらつらと書いていたら長くなりました。すいません!


曲に対しての解説風に見える部分が多いかもしれませんが、あくまでこれは大屋の感想みたいなものです。
作詞作曲者の(大の)意図とはズレる部分があったりするかもしれないので、ご了承ください。

自由なセルフライナーノーツです。


1 . 宇宙船六畳間号
想像力というのは本当に人間に与えられた素晴らしい能力だなと思うのですが、情報が多すぎて溢れかえってる現代だと、ついつい想像することを忘れがちになってしまうものだと思うんです。
自分の身の回りの世界は宇宙みたいに広いけど、一方で見える範囲は狭く限られているので、知らないことに怯える必要もないですし、想像力があれば人との繋がりは距離なんて関係ないし、途絶えず繋がっていけるものだと思います。
このSNSが発達してきた今の時代のImagineみたいな曲だなあと思います。


2 . Enchanté
風が吹く外の世界では常に世界が変わり続けていて、「自分を変えねばならない」「成長していかなければならない」そんな脅迫観念に近いものに追い回される中、どこに行けばいいかもわからなくなったりもするけど、正しさとかそういうのを捨てて風の吹く方へ流れて行けばいいんじゃないかなと思います。
すべてのものは少しづつ変化していて、その人やモノに対して初めて相対するような気持ちを持つことは大事だよな、と思います。
デモではサビで転調したりはしてなかったけど、もっとこのサビの爽快感を強調するにはどうしたらいいかなと思った時に、転調させてみたら気持ちよかったです。


3 . ワーカホリック
「なんでもない日常こそ大切なんだよ」なんてどこ向いたって聞こえるけど、実際自分の生活だったりを見るとどうにも思い描いてたイメージと違ったりしますよね。
でもテレビで取り上げられるような不幸なことばかり起こってるわけじゃない。ただなんとも言えないけどなんか憂鬱。そんなブルースソングです。
この曲は4年位前にデモがあったんですが、当時ベースとドラムのアレンジに苦戦して完全にボツになりそうだったんですけど、頑張ってサルベージできて嬉しいです。
コードがそもそも少し暗い雰囲気を持っていて、でもビートは楽しげ。歌詞はなんか憂鬱。なので全体が明るくなりすぎないように・・・この曲はほんとにトライアンドエラーを繰り返して大変だったけど楽しんで作れてよかったです。


4 . EYE
自分というのはどこにあるのか?という問を考えた時、極端に言えば、個人で存在しているだけだとただの生物としての人間なだけであって、2人以上の社会に於いての自分(の個性)はもう自分の中ではなくその関係性の間にのみ存在するものだと思うんですよね。
自分ていうのは実は自分の中に殆ど無くて、自分が自分だと思ってるものは虚像であることが多いので、見つめるべきはきっと僕じゃなくていいと思います。
ギターソロ、殆ど音に関係ないトリビアですが、RECの時5セントコインで弾いてますので、(フレーズは別として)空気感だけブライアン・メイを感じていただければ幸いです。


5 . 風と船
この曲もワーカホリックと同様の時期にデモがあった曲。この曲はアルバムで一番孤独な曲だけど、それ以上に優しさをとても感じる曲でもあって、つい自分に対してストイックになり過ぎる人にこそ聴いてほしい。失敗して挫折したって、弱音吐いたって、そんなの誰が許してくれないって自分が一番許せないだけだったりすることが多いと思うんです。
個人的お気に入りポイントは聞こえにくいですけどラスサビ直前のコードに分数augをブチ込んだところです(A#aug/E)。ただのdimとか入れても良かったんですけど、この曲はあんまり構成を複雑にしたくないけどラスサビ前になにか個性が欲しいと思ってたところ、太古の昔の自分のメモ帳の中にあった一つがハマるんじゃないのと気づいてコッソリ入れました。採用されてよかった。


6 . チョコレート
「どんな愛も時にほつれる」っていう言い切ってしまう一言に対して、いやそんなことなくない?って言いたくなるけどそれを否定することは確かにできないなぁと思ったりして、僕はつい考え込んでしまう曲です。でもこの「ほつれる」っていう言い方がミソで、切れるわけではないしまた結び直すこともできるしなぁと思ったりもします。
この曲、ぶっちゃけ俺は殆どノータッチに近いので感想みたいな感じになっちゃうんですけど、逆を言うと手を付ける余地がデモの段階であんまりなかったんですよね。気持ちよくループするコード進行、サビで登っていくコード進行、後半にかけて劇的ではなく緩やかに変化していく構成、時折入るアコギの特徴的なフレーズ。変える必要性を感じなかったけど、無理に変えなくてよかった。


7 . ベランダ
社会に身を置いて人と付き合っていく以上、人を傷つけないことなんかできないのに、そのジレンマと脆さをこの曲を聴くたびに僕は感じます。
あとこの曲ラスサビ後半の「傍に居て」の部分のコーラスが重なっていくところの一瞬星になる感じしませんか!?


8 . いつものこと
まだ歌詞が完全にできてない時「認めてほしいだけさ 愛してほしいだけさ」ていうサビをデモの段階で歌っててめちゃくちゃいいなと思ったけど、レコーディングの途中で大が「これ一人よがりすぎてどうなんだろう・・・?」とかこういうことを言って迷ってるっぽかった時、必死に「こ、このままでいこうよ」と止めた記憶がボンヤリとあります。大からしたら気恥ずかしいものだと思うけど、そういうもんこそ歌詞にするべきだとも俺は思ってるし、ポロッと出た呟きのほうが叫び声より伝わる時もあると思うんです。


9 . ホワイトライクミー
この曲はアレンジしてる時から、サビの開放感をより強調するためにみんな意識を注ぎ続けた曲で、面白い展開にできたと思います。Aメロ、Bメロを繰り返してとにかく焦らし続けて、2分以上経ってやっとサビが来るという、ある意味冒険してる曲だなぁと思います。
この曲は早い段階で配信でリリースされていたけど、アルバムに入ることでまた少し違うメッセージに聞こえてきたのは僕だけじゃないのではないでしょうか?
EYEの言いたいことと、部分的に重なっていると僕は思っていて、アルバムに入ることでより魅力的に聴こえてきた不思議な曲だなあと思ってます。


10 . Fragile
「普通」「異常」という言葉はよく対極として使われるものですが、人の認識という点において考えてみると、視点や時代、立場、範囲その他諸々定義によってコロコロ変わってしまう厄介なやつで、「〇〇は異常」「〇〇は普通」と断言することはホントに難しいと思います。一つの手だけだとどうしても不完全な何かしか作れない事が多いので、誰かと手を取り合っていくことでやっと何かが作っていけるものばかりだと思います。


わかりにくい文章ですいません!

FRAGILE、たくさん聴いてやってね。