「fantasia」セルフライナーノーツ中原編 / 中原健仁
せっかく4人がそれぞれ書くんなら、
僕らしい視点で書いてみようかなーと思いまして、
気持ち的にサブタイトルは
ベーシストとしての『fantasia』
でいきたいと思います。
長文になりますが、『fantasia』を鳴らしながら、
まったりお付き合いくださいな。
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1.キャラバン
「とにかく楽しく、無邪気に」を心掛けた曲。
デモをもらった段階から、子供がはしゃぎ回ってる様子が浮かんで、
その雰囲気でフレーズを作りました。
イントロ、間奏、アウトロが特にはしゃいでます。
アルバムではギターのコード一発から始まりますが、
あの音が「fantasia」っていう国に入国した合図みたいで、すごく好き。
2.地球儀
僕らの新しい一面が分かりやすく出た曲かなと思います。
各楽器の絡み合いが面白い曲。
しかしながら、まあ難しかった!!とにかく難しかった!!
LAMP IN TERRENの楽曲を作るうえで
「作曲者に求められることが出来ない」ってことが僕は一番嫌なので、
それなりに練習しました。そして自分でさらに難しくしました。俺の馬鹿!!
けど、大サビ前の加速するようなフレーズとか、すごく気に入っています。
あと真ちゃんのソロがヤバいよね。震えるくらいエロいよね。
3.涙星群の夜
基本的にはずっと走ってるんだけど、
たまに空を見上げたりもしてるなぁってイメージだったので、
疾走感を出しつつも緩急をつけてみました。
それからこの曲はドラムがすごく好きです。
サビでライドを叩くとこがあるんだけど、
僕の中ではその音が「星」なんですよね。煌めいてる。
ライブでも結構やってるけど、
皆が楽しそうに手を伸ばしてくれてすごく嬉しくなります。
4.heartbeat
この曲のベースは「心臓」です。
色んな感情の変化に伴って変わる"鼓動"を表現しました。
速く力強く脈打つときもあれば、静かにふるえるときもある。
主人公の気持ちが強く描かれている2サビの部分、
激しくドクンてなるのを出したくて色んなフレーズを考えたんだけど、
結果的にすごくしっくり来るものになりました。思い入れのある一曲。
5.innocence
ずっと、ザワザワしてます。気持ちがざわついてます。
"憎しみ"とか"歯痒さ"とか、とにかく負のエネルギーが根底にあります。
だけど、誰かにぶつけるようなものではなくて、
光に向かっていくために必要なエネルギーという感じです。
何度も挫折を繰り返して、それでも見える光を追いかける。
このアルバムの中で一番鋭く尖っています。
ライブではいつも「歯食いしばって立ち上がったれ!」って感じで、
弱っちい自分に向けて叫んでます。
6.at (liberty)
完全に僕の趣味にマッチした曲です。笑
"雰囲気を作ってるのが実はベース"って曲がすごく好きなですけど、
この曲でそれが出来たと思っています。
じわじわと地を這いながら向かってくるベースラインが我ながら超好きです。
特に、アウトロのハイポジションに上って降りていくフレーズ。
あとこの曲、低音が異常にでかいです。
エンジニアさんと相談しながら音作りしたけど、
ここまでグアッとベースが出たものがこのバンドで出来るとは。新たな一面。
7.pellucid
初めて明確な"ラブソング"を弾きました。
歌詞を読んだときにこの主人公があまりに心配になって、
寄り添ってやりたいと思いました。笑
「きっと僕が素直であることを君は知る由もないままだろう」
たくさん好きな部分はあるんだけど、この歌詞にすごく共感しました。
もしもこの"僕"が俺だったら、これを悟った瞬間、とんでもなく辛いだろうな。
どうりでベースラインも震えるわけです。
個人的には歌詞と一体化できたかもと思えて、ライブが楽しい曲。
8.オフコース
打って変わって、陽気な雰囲気が漂う曲。
最初の方は大の弾き語りメインな音源になる感じだったけど、
バンド編成でのアレンジにシフト。
GibsonのEB-2っていう、セミアコースティックベースで録音しました。
ボディにぽっかり穴が空いていて、丸くてあたたかい音が出るのが特徴なんだけど、
これまた弾くのが大変で...。
普通の弾き方じゃなくて、弦をバチッと鳴らすようにして弾きます。
他にも、フレーズを弾くときに少し指を滑らせたり。
けど、すごく楽しいレコーディングでした。
ちなみにこの曲、ごはん作りながら聴くのが僕はすごく好きです。笑
9.不死身と七不思議
LAMP IN TERREN史上、最もポップでキャッチーな曲だと思います。
だけどベースの音色的はちょっとイナたさがあって、
その合わさりが面白くてお気に入り。
もうこの曲、ライブでやると一瞬で楽しくなっちゃうから、
すごいパワーを持った曲だなぁと思う。
ベース的推しフレーズは2Bの転がるようなとこです。必聴!
10.eve
もう2サビ後のセクションは、毎回胸をアツくさせられる。
「震えていたっていつか暗闇が僕を迎えにくるかも」
「その時が来てもきっと俯かないで君のもとに会いに行くよ」
こんなの心の中で叫ばずにはいられない。
だんだん胸の内の思いがボロボロ零れていくような曲で、
それに呼応するかのようなアレンジになりました。
最初はやさしい浮遊感が出てるんだけど、
時間が進むにつれてだんだんロックになるっていう。
ベースも実は1サビまでは指弾き、それ以降はピック弾きにして、
やわらかさとゴリゴリさを出しています。
歌と一緒にメロディーを弾いたり、ベースで和音を鳴らしたり、
表情豊かな曲になりました。苦しかったけど、楽しかったな。
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いやはや、これは書き出したらどこまでも書いてしまうやつだ。
今回本当にどの楽器も良い仕事してて、止まらなくなった。
聴きどころがたくさんあるということですね。
聴くたびに新しい発見があるようなアルバムになったなと思います。
改めて聴いてると、ほんとに内容が濃い。キャラが強い!笑
僕なりの視点で書いてはみましたが、
本当に自由に楽しんでもらえたら何よりです。
それぞれの景色の中で「fantasia」を鳴らして、
自分だけの「fantasia」を持ってくれたら、
こんな嬉しいことはないなぁと思います。
長文になりました。読んでくれてありがとう!