「fantasia」セルフライナーノーツ大屋編 / 大屋真太郎
こんにちは。大屋真太郎です。
ついに発売日となりました。
突然ですがセルフライナーノーツとして少しですが主観で曲解説的なものをかいてみました。
ぜひ「fantasia」を聞きながら読んでみてください。
『キャラバン』
Innocence/キャラバンのシングルを出した時のインタビューなどでも大が言っているが俺がバンドに戻ってきてから書かれた曲。
四人体制になって新しくなったバンドの曲であり、歌詞を読んでもわかるようにこれからの未来への曲でもあり今までの過去を肯定しようとする歌でもある。
未来を見つめているけども過去があるからこその未来で、自分たちの持ち物であったはずの過去だったり歌というものだったりに励まされたりして魔法のようですよネ。
ギターに関しては僕も上手く弾けなかったりしたけど、その時の自分たちだったり気持ちだったりをパッケージするということが大切だったりもすると思うので、等身大な自分たちを表現できたかなあと思っています。
『地球儀』
ガラクタにしか思えなかったものがある日突然輝き出したこと。記憶を掘り返せば掘り返すほどある類の経験だと思っているけど、例えば僕の個人的なことで言えば一度バンドを抜けたこと。ギターを置いて別の道に進もうとしていたこと。それでもまた誘われてバンドにノコノコ戻ってきたこと。自分が昔信じていたものをまたもう一度信じてみたいという気持ち。無駄な経験などないと背中を押してくれているような気持ちになる。
歌詞の中で「空き地を埋めるだけが居場所じゃないんだ」「もう一度信じてみたいんだ」というところは特にパワーのあるフレーズだなあと思っていて、挫折を繰り返して、挫けそうになってもそこからまた見える希望を掴もうと必死になっている・・・こういう誰もが感じる目を背けたくなるような部分に対して逃げずに立ち向かっていこうよ、ていう曲だと感じます。
ギターソロとてもすきです。
『涙星群の夜』
涙っていうものはいろんな話に出てくる話題だけど、LAMP IN TERRENでもついに登場。流れ星に願い事を願うとそれが叶うというのはあまりにも有名な話。人が流す涙のパワーというのはそれだけ大きいのではないかとも思ったりします。想いの強さという点に置いて涙ほど強いものは人間の表現で他にないのではと思うけど、涙をコントロールすることはできないし、何より涙って美しいよねとも思う。美しいものを自分の中で大切に持っていてほしいなーと俺は思いながら聴いたり弾いたりしてます。
『heartbeat』
あなたと僕との相互関係が光になるよ、という歌だと思っていて、色んな関係に当てはめることができる優しい曲だなと思っています。
「僕らはお互いの心は覗けないから 伝え合う 分かち合う 信じ合う 鼓動を」という歌詞の一節がとても好きで、やっぱり自分が与えられる影響というのは限られていて、伝えたいのに伝わらない、分かち合いたいのに上手くいかない、信じ合いたいのに・・・と言った具合にそういう気持ちのやり取りをする上で上手くいかないジレンマがあったとしても、それでも僕はあなたに向かって信号を常に発し続けることで、それがあなたにとっての光になれば・・・というメッセージを込めて弾いています。
ギターソロかなりすきです。
『innocence』
自ら選んできたはずの人生の選択は間違ってなくて、間違っていないはずで、その証明のために戦い続けていく歌。
「答えのない日々が正しくある為に」自分が自分である為には戦い続けていかなければならず、過去のすべてが今現在の一瞬に込められているから気張れって言われているような気分に毎回なります。おれは実は一番この曲が元気でます。
『at (liberty)』
自由という言葉はとてもポジティブな言葉である反面、それだけの責任・義務などがあってこそ成り立つものであるし、枠が決められているものでもあると思うので、「本当の自由とは何ぞや」という問いかけに対しては諦めたくなるほどの命題だなと思うので俺は絶対に深入りしないようにしてるのに松本大さんは入っていってしまったのであった・・・
うまく文章で纏められる自信がないのでコレばっかりは歌詞をじっくり読んで感じてほしいです。
ギターはツアー中、出先のホテルで大と相部屋になったときに「あーでもない」「こーでもない」と深夜考え続けていたのが印象深いです。
『pellucid』
純粋な気持ち。そういったものを分かち合う為に僕たちは一体どうすればいいんだろうって思ったり僕はするんですけど、言葉ではない何か、透明なそれらしき何かが、唯一伝える手段を持っているのではないかと思ったりします。
もしかしたら音楽もその一つなんじゃないかと思う今日この頃です。
『オフコース』
当たり前のことだと頭で分かっているつもりでも、思い返すと分かっていなかったなーと思う事って多いと思うんですけど、「当たり前」っていう言葉の持つ魔力への恐怖だったりが僕は常にあって、そこにうまくリンクした曲です。
間奏のコードとメロディとサウンドで僕は百回以上昇天するほどじゃないかって思うくらい気に入ってます。
『不死身と七不思議』
この物語でまたもや僕は千回以上昇天できます。
ひとりとふたり。その物語だと思っていて、ひとりなら無敵だったもの、完結していたはずのものが二人になった途端に終わりの無いものに変化してしまう。
「終わりを見てしまわないように それまでは不死身でいたいんだ」「いつだって君に聞いて欲しいんだ 君とだから見付けた答えを」
もうタマラン。
切ない歌詞に対比するようにLAMP IN TERREN史上最もポップな曲になりましたが、このポップな曲に含まれる切なさをぜひ感じ取って欲しいです。
『eve』
この曲ではeveという言葉は特別な日の前日という意味として使っていますが、明日が今日より素晴らしい日であると仮定するならば、今日という日は明日から見れば前日である、という着想で大が作った曲ですが、その発想は実にアッパレ。
たとえ明日が悲しい日だと言われる一日であったとしても、きっとそれは悲しみだけじゃないはず・・・と慰めとはまた違うアプローチで励まされるなと思います。
「過ぎ去ったきみに贈れるものが 悲しみだけじゃ どこか味気ないだろう」という歌詞の部分が自分に言い聞かせているようで、でも平たい慰めでは決してなくて、泣ける。
ライブで果たして泣かずにコーラスできるか不安でしょうがないです。
〜アルバム通して〜
1年9ヶ月ぶりのアルバム、ということで、主に作詞作曲の大が苦しみ抜いた作品達なのですが、鬱屈した雰囲気というわけではなくむしろ明るい希望に満ちた作品になってます。
というのも、足掻いて足掻いてそこからやっとの思いでたどり着く先が異国のfantasiaであるというある意味松本大の潜在意識が作品に現れたのではないかと思っています。
大が提示したものに対して僕らは精一杯いい形になるように影響し合って、LAMP IN TERRENの作品として形作っていく作業はとても大変で、でもその喜びは他では得難いものです。
今作から僕は参加しているので自信初のアルバムとしてここまでのものがつくれたということにとても誇りに思いますし、スタッフのお力添えがあったからこそなんとかここまで来ました。
力作です。「fantasia」たくさん聞いてネ。