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2019.07.16

WHITE LIKE ME / 松本大

最近書いている曲は「詞先」という手法で、歌詞から先に出来上がっていきます。まぁ、同時にメロディも生まれるのですが。書いていた手紙が"歌"になるのは楽しい。

ですが、この度配信シングルとしてリリースする『ホワイトライクミー』は「曲先」でした。7/28、日比谷野音のために何か新しい曲を!という経緯で作った曲だったからか、音のイメージの方が先に生まれた。昔から曲先で書くのが多く、メロディが決まったところに言葉を当てはめていく面白味もあったけれど、今思えばいつも苦労していた。僕にとって言葉がメロディを持って生まれてくる事はあっても、メロディが言葉を連れてくる事はあまりなかったから。

せっかくのワンマンライブ、せっかくのビッグイベントだから、「何かすごい事を伝えなきゃ」と思って書き始めた曲です。肩肘張っちゃって最初は何にも浮かばず、曲作りも進みませんでした。結果的には「伝えたい事なんか何にもないよ」という気持ちが土台としてあります。その上で自分がどうしたいか、何が好きかだけを考えた曲です。

この曲を書いて思い知りました。誰かに伝えなきゃいけないことなんて本当はひとつもないのかもしれない。あるのはただ自分が何が好きで、どんな風に生きていたくて、何が楽しくて、どんな世界であって欲しいのか。そんなことばかり。頑張る意味やら生きる理由やらを探して、そればかりでは身動きが取れなくなったり、最初から大層な事なんて言えもないし、背中も押せないし、救えもしない。全て結果論なんだろうなーと思う。だって、ちっぽけな自分の世界で巻き起こる事しか言葉にならないですもの。僕は僕が幸せになるために音楽を選んだ。その上で聴いてくれた誰かが楽しんでくれたり、救われたりするならもっと幸せだなぁとか思いながら。

だけど、誰かの背中を押すために書く歌って自分が現実に生きていない感じがするのです。自分の世界で見えていないものを歌にするのって薄っぺらいと思うのです。だから沢山の景色や作品や感情に出会わなければなーと今になって言語化できるようになった。

この歌の先に待ってくれている誰かがいるのに、その誰かを想ってばかりでは歌にできない歯痒さも不安もありました。だけどこの曲が完成してから「あぁ、これを伝えたいんだ」という気持ちに気付いた。伝わるかな。伝えなきゃいけない事はないけれど、ちっぽけな自分の世界で感じた事を閉じ込めた歌が完成すると、それを伝えたくなっちゃうの。そこで初めて「伝えたい」という気持ちが生まれるの。通り過ぎた後に意味や理由が生まれたの。

タイトルはパッと浮かんだものです。最初は自分のまっさらな部分がこの歌になったんだなーピッタリなんじゃないかなー良いタイトルなんじゃねー?とふわーっと思っていました。ホワイトは純潔でもあれば絶望の象徴でもある気がするし、美しいものを美しいと言えていた無知だった頃の自分を思い返しながら歌詞を書いていたし。

なんだけども、これ、花の名前なんだって。ホワイトライクミーって花があるんだって。花言葉を調べてみたら「感謝」だった。

どれだけ言葉を並べようと、たぶん100%伝えられないんだけども余白はやはり聴いてくれた人に埋めてもらおうと思います。最後はいつも頼りっぱなしで申し訳ないんだけども。野音のために書いた曲。伝えたいのは最初からこれだったのかもしれない。

いつもありがとう。